Polaroid piguのNTTコムストアでの予約が始まりましたが、量販店などで実機を確認できるのはまだ先になりそうです。その値段が衝撃的に安いので、多くの方がすでに予約や、予約の検討をされているようです。ご購入判断の一助になるように、一般公開されている情報と、昨年の11月に展示会で触った実機の感覚を思い出し、他社の4インチ以下のスマホと比較しながら、留意点をまとめてみました。今回、一部の不明点はPolaroidのコールセンターの方にヒアリングもさせていただきましたが、発売前のため、予想も含まれており、発売される実機とは多少差異がある可能性がありますので、ご了承ください。
2015.1.26追記
1/26に公式SNSを通じて展開された情報を反映しました。
Polaroid pigu (携帯性抜群)
公開スペック
SOC
MedeaTek社(以下MTK社)のMT6572M(ARM7デュアルコア 1GHz)です。これはgeaneeのFXC-35でも採用されているSOCです。決して高速なプロセッサではありませんが、安価な小型機としては十分でしょう。初代prioriはシングルコアでしたが、どちらかというとメモリ不足のほうが深刻で、CPUの性能は意外にそれほど問題ではありませんでした。
geanee FXC-35(SOCが同じ)
メモリ
512MB/4GBという最低限のメモリ構成で、FLEAZ F4sやFXC-35と同じです。Android4.4採用のためこのメモリ容量でも問題なく、CleanMasterなどのメモリ管理アプリを使い、こまめに不要なメモリを解放するれば、ストレスなく利用できるでしょう。4GBのFROMにはユーザー領域がどれくらい確保されているかが注意点です。過去にはnicoやStartQのように8GBありながらも、0.9GBしかアサインされていないものもありました。さらに初代prioriは全部で512MBしかなく、さらにAndroid4.1のため、常にストレージ不足に悩まされました。piguが内部ストレージに2.53GBアサインされており、SDカードにアプリを移せる仕様なので問題ありません。
freetel 初代priori(Android 4.1 512MB/512MB)
GPS
SOCがMTKなのでGPSの測位速度はA-GPSにより問題なく、経路トラッキングした際の位置の誤差が多少気になるかもしれません。
LCD
HVGAでTN式のLCDパネルなので、ここには期待は禁物です。初代prioriやFXC-35と同等で、IPS式を採用するFLEAZ F4sやpriori2と比べると見劣りするでしょう。TN式の欠点は視野角に制約があり、縦に持った場合にやや下からの角度が最適に見えるのが一般的です。これに対してIPSは広い視野角を持ちます。さらに解像度も320x240と低いので細い線や小さい字がやや見ずらい可能性があります。これは本体が低価格であるがゆえなので、自分の利用シーンを考慮して判断してください。
FLEAZ F4s(LCDが綺麗)
タッチパネル
スペックには静電式マルチタッチとありますが、FLEAZ F4sなどと同じ2点式(ジャスチャー優先)だそうです。この方式のタッチパネルには平行した2点の同時タッチが正しく認識されない制約があります。詳細は下記の関連記事をご参照ください。
ネットワーク
LTEには対応しておらず、W-CDMA(800/2100Mhz)のHSDPA+に対応しています。国内のドコモのMVNOでの利用の場合は、14.4Mbpsが上限になるでしょう。格安SIMでの運用シーンではLTE非対応や、3Gでのダウンリンクスピードが問題になることは少ないでしょう。ドコモSIMの場合は、FOMAプラスエリアに対応しているので、カバーエリアに心配がありません。 ソフトバンクのプラチナバンド(900Mhz)には非対応です。
SIMスロット
W-CDMAに対応するSIMスロットを二基装備しており、同時にW-CDMA(3G)のSIMを二枚挿入できますが、W-CDMAでのデュアルスタンバイではなく、Polasma/Lineageと同等なSIM切り替え方式です。こんなに小さいスマホながら、標準サイズとマイクロサイズスロットがあり、どちらに搭載できるので、お手持ちのSIMサイズの変更の必要はありません。
カメラ
200万/30万画素の単焦点カメラ(オートフォーカス無し)なので、大きな期待は禁物です。FXC-35やFLEAZ F4sと同程度の画質でしょう。通常のQRコードは読めますが、小さいサイズは無理でしょう。画質が求められる写真撮影には専用のデジカメや、同社の新製品Cubeなどを併用するほうがよいです。
テザリング
Wi-Fiテザリング、Bluetoothテザリング、USBテザリングの3種類のテザリング方式にすべて対応しています。
バッテリー容量
1,400mAhと多くはないので、モバイルルーターとしての利用にはモバイルバッテリーとの併用を考える必要があります。本体バッテリーでのテザリングで4~5時間ではないでしょうか。小型スマホとしての利用には十分で、通常の利用形態で1日は十分持つでしょう。他の機能を止めて音声専用にすれば1週間程度の待ち受けもできそうです。
セルスタンバイ問題
データSIMの場合にはいわゆるセルスタンバイ消費電力がありますが、実用的には問題がないレベルですとのことです。実機が入手でき次第確認します。
050Plus(IP電話)
Nコムの050Plusがプリインされ、Nコムの050Plus認定をパスしており、IP電話の音声品質が担保されています。 ちなみに050Plusはまだ待機電流が大きいので、piguでは発信専用で使うほうが良いでしょう。050Plusのプッシュ通知対応が予定されているようで、それに期待です。
Bluetooth
Bluetooth4.0とBLEに対応しており、最近のBLE対応デバイスも使えます。
USB
USBはターゲットのみで、ホスト機能には対応していません。
外形寸法と重量
116x60x9.9mmと本体は非常にコンパクトで持ち歩きに便利です。(展示会で実機を確認) 重量は、初代priori(113g)や、FXC-35(107g)に比べてグッと軽い97gです。
近接センサーと照度センサー
FLEAZ F4sと同様に、近接センサーはタッチパネルを使ったエミュレーションで実現、照度センサーは非搭載なので、輝度設定は手動になります。
保護フィルム
最初から保護フィルムが貼られており、すぐに使い始めることができ、好みに応じて市販品の保護フィルムにあとから張り替えればよいようです。
個装箱
このような個装箱に収められて出荷されます。
まとめ
全体性能やその使用感はgeanee FXC-35に近く、さらに携帯性に勝るので、より便利に使えると予想します。肝心の製品の完成度は、前機種であるPolasma/Lineageが十分水準に達していたので、某スマホのような地雷になる可能性は低そうです。LCDとカメラの画質、タッチパネルには制約がありますが、それを差し引いても4,980円(税込)は十分魅力ある価格です。特に手元で使うサブ機、ガラケーの乗り換え、子供用のファーストスマホ、アクティビティモニターやスポーツのロギングなど、ここまで安くてコンパクトであるが故の利用シーンの広がりがありそうで、大ヒットの予感がします。このようなバラエティの利用シーンでは、LCDやカメラなどの制限は気にならないでしょう。
一方で、昨年のZTE Blade Vec 4Gとfreetel XMの関係のように、こうして加入義務のないSIMセットでの販売が大きく先行してしまうと、それ以外の販路は限定的になる懸念があります。何れにしてもローエンドスマホながら、今回のpiguのNTTコムストアでの登場はすでに大きな注目を集めており、1G/8Gモデルの展開なども含めて、今後の動向に目が離せません。
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