スマコト

SIMフリースマートフォンについてのいろいろなコト

geanee FXC-5Aとイオンスマホの失速を考える

追記とお詫び

イオンは以前より格安SIMと各社のSIMフリー端末の販売の他に、期間毎に厳選した一機種をイオンスマホに選抜し、格安SIMをバンドルした販売を行ってます。FXC-5Aはその第2弾に選ばれ、5万台一括発注をして値段を押さえた自信作とイオンからメディアに発表されたのですが、実際には、その定めた期間内に5万台に達しないまま、イオンスマホの座を第3弾のALCATEL ONETOUCH IDOL 2 Sへ譲り、さらに第4弾で富士通がその座を奪いました。イオンスマホは期間を決めて、選定したその機種を売り切る戦略なので、期間を過ぎた在庫は処分(契約解除や返品)されその後の販売は収束していきます。FXC-5Aはイオン自体から撤収ではなく、イオンスマホから外れたという主旨でしたが、誤解を招く点があったことをお詫びします。

記事本文

スマートフォン&モバイルEXPOでジーニーも取材したのですが、あまりの低迷ぶりに記事にするのは止めました。ジーニーの低迷はイオンスマホからの離脱にあるようで、イオン依存で他の販売経路を持たなかった同社は、FXC-35の販路もいまだに決まらないようです。ブースに貼られた、すでにイオンでは販売終了したムラサキ色のイオンスマホ第2弾のポスターが郷愁を誘います。

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イオンスマホの失速

イオンスマホの販売低迷は、顧客に望むものを聞いて進めたからだと考えます。イオンスマホの第1段は、それ自身が人気がなくて長期滞留していたNexus4在庫を採用しました。イオンが始めて投入した格安スマホとしては十分な成功を収め、限定数量の8,000台を売り切りました。そこで、次はもっとよくしようと顧客の声を聞きました。 

第2弾「もっと安くしてほしい」

もっと安くするときっと販売台数が増えると信じたイオンは、ジーニーという中国製のスマホを5万台コミットすることで、破格のスマホを専用に用意させました。出だしは好調でしたが、1万台を越えたあたりで行き詰まりました。そこでどうしたらもっと売れるか顧客の声を聞きました。

第3弾「LTEじゃないと使えない」

MVNOの格安SIMバンドルなので、LTEのメリットはほとんどありませんが、LTEにしたら販売台数が伸びると信じたイオンは、自力で見つけたAlcatelの名前をつけた中国TCL製のスマホを、シネックス・インフォテック経由で調達しました。しかし案の定、LTEのメリットはユーザーに訴求せず、全く売れません。またTCL社は国内にはサポート体制はなく、シネックスは輸入代行にすぎず、急造に用意されたユーザーサポート体制が脆弱で、評判はさらに悪くなりました。そこで何が不満なのか顧客の声を聞きました。

第4弾「中国製のスマホはとにかく嫌だ、国産がいい」

中華製だから販売が止まってしまったと信じたイオンは、日本製に変更したら販売が戻ると信じ、富士通製のシニア向けらくらくスマホにしました。国産なので、品質とサポートは向上しますが、値段は上がってしまいました。これはもはや格安スマホではありません。結果はこれからですが、これが本当に顧客が求めているものなのかは疑問です。

失速の原因

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」とヘンリーフォードが自動車を開発した時に言ったように、顧客・ユーザはは自分が何が欲しいのかわかっていないにもかかわらず、顧客の声に頼り、誤った判断をしつづけることが低迷の原因と思われます。結果として、毎回サプライヤーを変更し、サポートセンターがすべての端末で異なる状況です。イオンのユーザーはこれがスマホデビューのケースが多く、自分が望むものが何か判る以前に、スマホの使い方が判りません。これを場当たり的にその都度異なるコールセンターで受けているので、知見が蓄積されず、本当に顧客が望むものが掴めません。

進むべき方向

第2弾スマホが1万台を越えた時点で低迷した原因は別にあり、それに正しく分析し、補正し、次の端末展開を考えていたら、こうした失速は避けられたと思われます。第2弾イオンスマホの5万台受注を途中解約されたジーニーは、追加の注文もない中、いまだに殺到する「超スマホ初心者」からの初歩的な質問にコールセンターがパンク状態で、苦戦しているそうです。格安スマホの先駆者であるイオンには、正しいパートナーを見つけて低迷を脱していただきたいと共に、これから参入予定の大手異業種の方々にはこれを参考にして、SIMフリー市場の拡大にもっと寄与し、ユーザーの選択肢を広げていただければと思います。